海峡を渡るバイオリン

ドラマ「海峡を渡るバイオリン」鑑賞


録画しておいた「海峡を渡るバイオリン」を見ました。
「フジテレビ開局45周年記念番組」という冠付きの3時間半の長編ドラマで
監督は「北の国から」の杉田成道氏。撮影期間は4ヶ月。いわゆる「超大作」


番宣映像を見た段階で自分が苦手なタイプのドラマだろうという予感がして
正直、見るのは気が重かったのですが、一応草磲剛ファンを自称している手前
見ないわけにもいかんだろうと思い、見ましたとも。一生懸命。
…でもね、やっぱり自分が好きな作品ではありませんでしたね。残念ながら。
そもそも全編に渡り漂う「貧乏くささ」…これがまず辛い。正直苦手です。
日本国民に広く愛されている「北の国から」を全く見てこなかった自分には
あの監督の撮りたい世界観がどうにも肌に合わず、結局何が伝えたかったのかが
さっぱり分からないまま消化不良感だけが残った印象でした。
あの唐突な最後はどういうわけなんでしょうか?過程が大事なんじゃないの?
祖国に帰り昔と変わらない景色の中で何かを悟り、次のシーンがあの受賞会場。
えええッ!!??ですよ。吃驚ですよ。物語の構成バランスが悪すぎる。


そして、肝心の草磲剛の演技も全編力が入り過ぎていて見ていてしんどい。
彼の魅力は淡々とした演技の中で一瞬浮かべる表情の素晴らしさだったり
佇まいの悲しさだったり、そういう部分だと思っているので、今回のように
全編泣いたり怒鳴ったりという役では魅力が半減…もしくは限りなくゼロかと。
彼は力が入りすぎると演技が過剰になりすぎて、口先だけで喋る癖が目立つ。
それが見ててとても気になるんです。これはファン故の感想かもしれませんが。
そもそも、最近メディアが過剰に「演技派」だと持ち上げるのがよろしくない。
僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」というタイプの似通った作品が
続いてしまい、挙句視聴率も取れてしまったのが問題だったのかな…。
そろそろ「フードファイト」みたいなアホドラマにまた出て欲しいなあ。
肩の力が抜けた、いい感じの演技を見たいですな。熱演と好演は別だぞー!


菅野美穂ちゃんは可愛くてよろしいです。大好きなんですよ。
あんな旦那別れろや、と真剣に相談したくなる健気な妻を好演されてました。
オダギリジョーは「嫉妬の香り」を見て以来愛せずにはいられません。
因みに顔も好みです。自分は何故か好みと全く違うタイプの人にハマるけれど。
田中邦衛はいつでも田中邦衛ですが、やっぱりあの監督の映像にははまります。
こればっかりは心底感心致しました。そういう事なんだろうな、監督と役者って。